編集:川田洋平、デザイン:米山菜津子,翻訳:Sam Holden、梅原進吾| 80ページ | 17.0x 24.0x 0.8cm |
浅草の多目的スペース「RABA」の展示企画から生まれた書籍シリーズの第2弾。
天才編集者 川田洋平さんの仕事がまた見れます。
以下 出版社リリースより
タイ出身・1990年代生まれの作家4名による作品集
社会規範と政治混乱があぶり出した「問い」と「表現」
本書はタイ出身のHarit Srikhao、Kamonlak Sukchai、Naraphat Sakarthornsap、 Natthaya Thaidechaの近作とインタビューで構成された作品集です。この4名のビジュ アルアーティストたちはそれぞれ1990年代初頭~半ばにバンコク近郊で生まれ育ち、 2000 年代以降に繰り返されるタイ国内の政治的混乱の顕現を思春期で目の当たりにし てきたという点において、共有可能なアンビエンスを有しています。いずれもイメージへの 積極的・継続的な介入を通じて、長く隠蔽されてきた規範や権力が生活者たちの無意識に 与える影響と、それらが引き起こす国家・社会・個人単位における行為や信念、身体のあ り様についての考察を試みています。
なお、本書は東京・浅草の多目的スペース「RABA」の展示企画から生まれた書籍シリーズ の第 2 弾となります。共同企画にタイ・バンコクを拠点にするアートフォト・プラットフォ ーム〈ARC TRIBE〉が、また編集協力にはアジア各地域のクリエイティビティとネットワー ク構築の促進を目的に組織されたインディペンデント・プラットフォーム「UNLIRICE」が それぞれ参加し、制作されました。
“ 彼ら/彼女らはそれぞれのレンズを通して、無比の物語を共有してくれる。それらの作品は、文化的規範、信念、集団的理解、社会的構成に 向けられた挑戦のようでもある。そこで扱われるテーマが親密なものであろうと、あるいはより普遍的なものであろうと、それはつねに現実と幻 想のあいだにたゆたう「捏水」として存在するのである ”
── Kanrapee Chokpaiboon, ARC TRIBE in Bangkok |本書ステイトメントより
掲載作家/シリーズタイトル
Harit Srikhao「Untitled」
1995年生まれ。タイ・バンコクを拠点に活動する写真家/ビジュアルアーティスト。2019年にイタリアのNuova Accademia di Belle Arti(NABA)で写真とビジュアルデザインの修士号を取得。彼の作品はエリゼ美術館(ローザンヌ、2015)、Nacional de las Artes(メキシコシティ、2016)、 Gallery Ver(バンコク、2017)、Red Hook Labs(ニューヨーク、2018)、Castlefield Gallery(マン チェスター、2019)など、世 界 各 国 で展 示 されている。プリンスクラウスシード賞(2021)、Foam Talent(2017)など、国際的な賞の受賞歴多数。作品を通じて写真とプロパガンダの関係を強調 するだけでなく、近年は映像、造形、インスタレーションなどメディウムを拡張させながら、おも に政治やセクシュアリティに関する対話を試みている。
Kamonlak Sukchai「Red Lotus」
1994年生まれ 。タイ・ラチャブリー出身 。シーナカリンウィロート大学で映画製作デザインの 学士号取得。モンクット王工科大学ラカバン校でビジュアルアートの修士号取得。父保守的な家庭 と生まれ故郷の社会文化に影響を受けながら、コラージュ技法を多用した写真実験によって歴 史や国民性、宗教観、ジェンダーといったイデオロギー形成に疑義を呈する。彼女の作品はドイツ、 オランダ、フランス、シンガポール、台湾などの国際的な写真フェスティバルで展示されている。 東南アジアの古い民話を通して、信仰とセクシュアリティの関係を探求した《Red Lotus》で Foam Talent(2020)を受賞。
Naraphat Sakarthornsap「The Other Side of Flower Arrangement」
1991年生まれ。タイ・バンコクを拠点にするビジュアルアーティスト。2013 年、チュラロンコン大 学美術・応用芸術学部卒業。花を被写体にした繊細な写真作品やインスタレーションを通じて、社 会における権力や影響力の存在を暴きながら不平等や性差別の物語を一貫して表現している。おも な個展に「Nature versus Nurture」(SAC Gallery、バンコク、2022)など。マレーシア、韓国、イン ドネシア、シンガポール、中国、香港、台湾、スペインなど、国際的なグループ展や写真フェスティ バルでの展示実績多数。
Natthaya Thaidecha「As She Calls Her Breath Back」
1994 年生まれ。タイ・バンコクを拠点にするビジュアルアーティスト。シーナカリンウィロート大 学で映画とデジタルメディアの学士号取得。卒業後にモデルエージェンシーに勤務し、フリーラン スのスタイリストを経て、2019 年から写真を始める。彼女の作品は、タイ、韓国、香港、インド ネシアのグループ展で展示されている。彼女の作品では、記憶、宗教、死との関係性が繰り返し トピックとして扱われている。現在は〈Bad Eyes Collective〉でもある。